『ひずみ』

　西部軍との和解を果たし、残る敵を中央軍だけ
とする革命軍。和解への道も残されてはいたが、
中央軍の侵攻により止む無く戦いを選ぶ。
　アンキセスに革命軍参加を呼びかけるフレデリ
ック。戸惑う父に対しマグナスは…。

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尽言のゼベク
「…何を迷う必要があるッ！？
　もはや敵は中央のみ！
「東方教会の協力があれば、
　我らの勝利は確実であろう？

明星のフレデリック
「中央と拮抗する現在の状況ならば、
　和解も夢ではない。
「我々と中央の戦いは、国に大きな
　被害をもたらす。そして一番の痛手
　を被るのは中央だ。
「中央もそれは理解している筈。
　これ以上の争いは避けるべきだ！
　今ならば、それが可能なのだ！

尽言のゼベク
「中央と拮抗する状態？　東方教会が
　中央に協力したらどうする？
「しかも、我々は西部軍の残党を
　引き入れての話であろう？
　…そんなものあてになるか！
「あの様な者達など、
　いつ裏切ってもおかしくないぞ。

マグナス
「彼等も望んで戦っていた
　わけではありません。
「まして中央に逆らい、
　我々と共に戦う事を決意
　してくれたのですよ。
「…それを疑うのですか？

尽言のゼベク
「簡単には信用出来ないと言って
　いるのだ。
「そもそも誰が和解しろと言った？
　自らの独断専行を棚に上げ、
　息巻くなッ！

尽言のゼベク
「我々革命軍にレギオン戦術を
　ご教授頂けた事には感謝するが、
「この戦乱の中、その程度ではなぁ？
　それに、敵だった者を疑うなと言う
　方が無理というもの…。
「そうは思いませんか？
　…アンキセス殿？

堅牢地神アンキセス
「おっしゃる事はごもっともです。
　…ただ、少し訂正して頂きたい。
「確かに我々は蒼天騎士団と
　共闘する事を誓った。
　…それは紛れも無い事実です。
「しかし、革命軍に与すると言った
　覚えはない。
「この国の間違いを正す事…。
　それこそが、我が将の望みであり、
　我々の意思だ。

尽言のゼベク
「『我が将』とやらは、
　一体何処へ行ったのか…。

革命軍戦士
「大変ですッ！
　中央軍が現れました。

尽言のゼベク
「フン、見たことか。
　…和解案は破棄だな。
「よし、すぐに東方教会に
　使者を出せ！

明星のフレデリック
「…アンキセス殿、
　仲間の非礼をお許し下さい。
「多少の相違はありますが、
　革命軍の者は皆、真剣に国の
　未来を考えています。
「そして、ローディスの介入が
　予想される今、一人でも多くの
　協力者が必要なのです…。
「…アンキセス殿、革命軍に参加
　して頂けませんか？

堅牢地神アンキセス
「………。


１．「一緒に行こう…
２・「…ユミルを頼む。

１．
マグナス
「一緒に行こう…、父さん。
「ユミルだってこうなる事を…
　組織や階級の隔たり無く、互いに
　理解し合える事を望んだ筈…。
「ユミルの想いに報いる為にも…

堅牢地神アンキセス
「お前の言う通りかもしれんな…
　…マグナスよ。
「分かった。
　…行こう、お前と共に。

マグナス
「フレデリックさん、
　…何故なのですか？
「どうして中央は、革命軍との
　戦いを選んだのですか？

明星のフレデリック
「中枢を担う者としてのメンツ…
　上級民としてのプライド…
「理由は色々考えられるが…
　西部城での戦いに関係し、
　ユミル王子をさらったのは誰だ？

マグナス
「…！！
　ローディスが既に？

明星のフレデリック
「…恐らくそうであろう。
　そう考えれば、リスクを無視した
　行動にも納得がいく。


２．
マグナス
「…父さん、…ユミルを頼む。

堅牢地神アンキセス
「…どういう意味だ？

マグナス
「ユミルを連れ去ったのは、
　あのローディスの騎士だろう。
「奴らは何かを企んでいる…。
　ローディスの連中は、ユミルを
　何かに利用する気なんだ！

堅牢地神アンキセス
「……マグナス…。

マグナス
「もう、これ以上……
　ユミルを悲しませたくない。
「だから…
　ユミルを助けに行ってくれッ！
　…頼む、……父さん…。

堅牢地神アンキセス
「お前に頼まれるまでもない。
　…私もそのつもりだ。
「フレデリック卿、お聞きの
　通りです。私は我が将の救出
　に向かうつもりです。
「あなた方と共に進めぬ事を、
　…許して頂けませんか？

明星のフレデリック
「あなたを引き止める事など、
　私には無理でしょう…。
「非常に残念です。陰ながら
　あなたとユミル王子の無事を
　お祈りしております。


▲ ＢＡＣＫ