王子ユミル
「君達のおかげで、
　無事西部へ行くことが出来る。
「本当にありがとう、
　…マグナス。

マグナス
「王子、ご無事で何よりです。
　…申し訳ありません。
「我々が護衛に付いていながら、
　王子に剣を取らせるなど…。
　お許しください、王子。

王子ユミル
「もう…、昔の様には
　接してくれないんだね…。

マグナス
「………。

王子ユミル
「どうして…、どうして君は
　南部軍を志願んしたんだ…。
「君の実力なら、すぐにでも
　中央の士官になれた筈だ。
　…それなのに何故……
「士官課程を終えたのに、
　戻ってこなかったのは何故？
　…何故なんだ！？

マグナス
「もっと世界を知りたかった。
　…自分の実力を知りたかった。
「中央での暮しが嫌でした。
　自分を取り巻く環境が嫌でした。
　……それだけの事です。

王子ユミル
「マグナス…
　僕と一緒に来ないか？

マグナス
「それは、どういう
　意味ですか？

王子ユミル
「僕は…、この国の実態、民の心、
　全て分かっているつもりだった。

王子ユミル
「僕には厳しいけれど、父や兄は
　優れた統治者だと思っていた。
「…あんな……
　あんな酷いことをしているとは、
　思いもしていなかった。
「自分や中央の人間が、
　こんなにも憎まれているとは、
　知らなかった…。

王子ユミル
「僕は力が欲しい！
　この国を帰る力が…
「マグナス、
　僕の力になって欲しい。

マグナス
「王子…、あなたに何が
　出来るのですか？

王子ユミル
「マグナス…？

マグナス
「あの時…、採掘場で何が
　出来ましたか？
「ユミルッ、俺達に何が出来た？
　俺達には何も…
　何も出来なかったじゃないか…

マグナス
「何が正しくて、
　何が間違っているのか…
「ユミルッ、俺はもう…
　自分がどうしたいのか、
　どうすべきなのか分からない。
「君についていく事が…
　君の、その考えが正しいのかさえ
　分からないんだ…。

王子ユミル
「…何も出来ないかも知れない…。
　間違っているかも知れない…。
「今の僕には無理かもしれない…。
　でもッ、僕はこの国を変える！
　国を、世界を変えてみせる！
「国賊と呼ばれようと…
　たとえ肉親と戦う事になろうとも
　構わないッ！
「この国を…
　この世界に生きる全ての人々を
　幸せにしてみせるッ！！

王子ユミル
「その時だけでいい、
　…マグナス、
「僕の傍にいてくれ。
　その時が来たら…
　……僕の…
「僕だけの騎士に、
　…なってくれ……。

マグナス
「……ユミル…。


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